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カラーパープルのKUBOのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.0
今日の試写会は『カラーパープル』ジャパンプレミア。

オリジナルはあの1985年のスティーヴン・スピルバーグの『カラーパープル』。その名作がミュージカルになって帰ってきた!

ストーリーはほぼ同じなので、そちらに関してはスピルバーグ版の方のレヴューを見ていただくとして、こちらではオリジナル版との相違について触れていく。

まず、スピルバーグ版が153分なのに対して、本作は141分。短くなったのは12分ではあるのだが、本作はミュージカルなので本編中、たくさんの歌と踊りに時間が割かれるために、ストーリーはかなりコンパクトにまとまっている。

だが、ストーリーに大きな変更はない。では、どこを端折ったかと言えば「繰り返し」部分。例えば、セリーは何度も何度もミスターに殴られたり怒鳴られたりするが、そこを一度でどんどん次の展開に移る。ストーリー的に変更はなくても、セリーの辛さや悔しさはスピルバーグ版よりサラッとした物になっている。

黒人女性の虐げられた人生が強調されていたスピルバーグ版と比して、本作では女性の強さがより強調されているように思う。元々、黒人女性が連帯して男性と闘うのがテーマだった『カラーパープル』がより現代的にブラッシュアップされた形か?

また、スピルバーグ版にはなかった、「赦し」というテーマが追加されているのも大きく異なる点だ。

何よりミュージカル部分の楽曲が素晴らしく、セリー、シャグ、ソフィアのパワフルな歌声は圧倒的!

主人公のセリーには、ブロードウェイのミュージカル版でもセリー役を演じたファンテイジア・バリーノ。

『リトル・マーメイド』のアリエル役の「ハリー・ベイリー」もセリーの妹ネリー役で出演。

スピルバーグ版の主役ウーピー・ゴールドバーグもちょい役でカメオ出演している。わりと最初の方だからお見逃しのないように。

私はスピルバーグ版の復習をしてから見たからミュージカル版でカットされている部分を脳内で補完して見れたが、逆に本ミュージカル版を見てオリジナルに関心を持ったら、配信やレンタルでスピルバーグ版を見るもよし。

ぜひこのミュージカル版で、名作『カラーパープル』の世界に触れてほしい。男性社会に”NO” を突きつける力強い女性たちの作品です。
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