シル

カラーパープルのシルのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.4
早くもベスト入り候補かもしれない



がっつりネタバレありでたらたら書きます。

セリー目線で物語が進んでくから、抗えないのをどこか受け入れてしまう感じがあった。

だからこそ、自分がもったいない、あなたなんてまっぴらごめんだと言い捨て、暴力夫を捨てるソフィアが超魅力的。
よく言ってくれたっていうニヤニヤが止まらなかった。もちろん住む家に困らない後ろ盾があってこそだとは思う。

セリーは自分の世界を広げてくれるシュグに自分を写して想像で楽しんでるような気がした。だからこそ夫といちゃついてる彼女からは目を逸らしたのかなとか。

中盤まで黒人だけしか出てこない。
初めて白人が出て来たと思ったら、一言目から語調も言葉の選び方もすごく嫌な登場だった。

そこでもソフィアは同じように、メイドになるなんてまっぴらごめんだと言い捨てる。
ここまで描かれて来た家父長制と、人種差別が同じようなものとして描かれてた。

ソフィアが帰ってきた後のみんなでの食事のシーンでセリーが吹っ切れたところ最高だった。おじいちゃんに向かってお前が育てたからこいつがこうなってんだよって言ったのが特に好き。

セリーの心の支えだったソフィアやシュグが
セリーの優しさによって救われる展開も最高だった。ここが個人的には1番の感動ポイントでした。ソフィアが観てる側が好きになったソフィアであれたのもセリーのおかげ。

最初自信がなかったセリーが自分を美しいと思えるほど成長したことを感じられるあの歌も好き。

ただミスターはまだ許せません。
家業を継がざるを得なかったのも、父親がそう育てたからというのも分かるが、ネティの帰国を手伝ったことくらいじゃあ、あの輪に入るべきではない。これから先も何か罪滅ぼしをしてくれるなら許してやろうと思います。

作中1番彼を憎んだであろうセリーが自ら招待状を送ってるところを加味すると、許したい気持ちはある。

売り飛ばした子供をネティが育ててるのとか少し出来すぎなようだけど、それも含めてセリーの優しすぎる優しさが招いた奇跡と解釈できる作品に仕上がってて最高でした。

オリジナルも観てみたい
2024
59
シル

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