えむ

スーパーノヴァのえむのレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
4.5
最初から最後まで愛しかなかった。

ちょっと皮肉屋な作家のタスカーがすごくいいキャラで。
認知症の進行を自認し、崩れゆく自我への悲哀と恐怖を抱えながらも、何より愛するサムのことを憂う姿に泣いてしまった。

サムの辛さもわかるし、その生涯をかけた覚悟も愛なんだけど、わたしはタスカーの気持ちも痛いほどわかって、本当につらかった。

二人の未来はどうなるのか。愛で全ては乗り越えられるのか。わからない。
自分も身近で認知症による様々なことの一端を経験したから、彼らには温かいだけじゃない未来もあるだろう。
サムの愛は本当だけど、なんで残酷なんだろう。

変わってしまう前の、今の本当の自分を覚えていてくれというタスカーの台詞が苦しかった。

"生きている人間を悼む"というのは、認知症後期を支える様を端的に述べていて心に残った。

なお、主人公たちがゲイなことはこの作品においてはさほど大きな問題にはならない。ただ、互いを心から愛し合う人間の物語だった。
えむ

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