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ある用務員のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ある用務員(2020年製作の映画)
4.7
深見晃(福士誠治)は、幼少期何者かにヤクザだった父・光男(野間口徹)を殺されて以来、日本の裏社会を牛耳る真島グル ープの総裁・真島善喜(山路和弘)に育てられる。
今は真島総裁の愛娘・唯(芋生悠)の影のボディーガードとして、唯の通う西翔学院高校で「用務員」として働いており、そして、真島総裁に訓練を施された「殺し屋」という裏の顔も持つ。
真島総裁は、国内から完全撤退し香港へ拠点を置きアジア諸国でビジネスを展開することを部下である西森組長(般若)に告げる。
反発した西森は、真島の愛人の息子の本田(前野朋哉)を巻き込む「ある計画」を立て、それをキッカケに深見の隠された過去が明らかになっていく。
ある日、暴力団の抗争が勃発し善喜が殺され、その娘の唯が狙われる事により、学校が戦場となる。
更には放たれたスナイパーの源さん(渡辺哲)や青柳と斎藤のチャラいヤンキー二人組や黒田と湯布院の貧乏暇なしの殺し屋二人組やシホ(伊澤彩織)とリカ(高石あかり)の女子高生殺し屋二人組やサイコな殺人鬼・南(大阪健太)の9人の殺し屋が唯と深見に襲い掛かかる。
深見は用務員としての衣を脱ぎ捨て、閉ざされた学校内から唯を救出しようとするが…。
福士誠治が映画初主演を遂げる本作は、バイオレンス映画界の新星・阪元裕吾による完全オリジナル作品。
三池崇史監督作品を数多く手掛けるアクション集団・Gocooによる本格アクションが繰り広げられる中、運命による呪縛を解放するため一人の少女を守っていく暗殺者の姿をクライムノワールな世界観で描く。
というと、ヤクザ映画なのかという感じだが、それはあくまでもヤクザ映画の世界観で「イコライザー」など「ナメてたヤツが凄いヤツだったアクション映画」であり、「ジョン・ウィック」のような近接格闘アクションや近接ガンアクションを見せ所にしたアクション映画である。
親子であってもお互いが生き残るため、騙し騙され殺し合う仁義なきヤクザ社会の中でも通い合う深見と真島の絆の太い男っぽい仁義と目的の為に手段を選ばない西森や鈴木の対照的なヤクザのありようが、より深見の男っぽい魅力を引き立てる。
理不尽の塊のような西森と村野の漫才のようなオフビートな会話など、スリリングなサスペンスとアクションの合間に挟まる絶妙なコメディと、電気屋の親父のようなのに冷酷な本田など個性的なキャラクターの魅力に惹きつけられる。
サイコな殺人鬼・南の冷血な殺人鬼ぶりのつかみから始まり、深見とシホ&リカ女子高生殺し屋二人組の図書館を舞台にしたガンアクション、深見とシホのナイフ格闘アクションなどクライマックス40分のアクションは、日本版「ジョン・ウィック」を目指した辻井啓司率いるアクション集団Gocooによる本格アクションが日本映画のこれまでの水準を超えた現代アクションの至高の域に達したアクションで、アクション映画好きなら満足すること間違いないハードボイルド・アクション映画。
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