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戦場のメリークリスマス 4K 修復版のiamのレビュー・感想・評価

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全てを語らない映画をみて、自分たちがその映画を起点に何を語るのか。余白が多い、と言えるとも思うが、「蒔かれている種」が多い作品だと個人的には捉えた。

観たあとに浮かんだ言葉のひとつとして、「けじめ」がある。映画の中で「けじめ」という表現が直接的に使われていたか、定かではないけれど、「切腹」や「処刑」などとかたちをかえながらストーリーのはじめからおわりまで、その言葉は存在感をチラつかせながら常に画の中に浮遊しているように感じた。
彼らは何にけじめをつけようとしているのか。俘虜を犯したことか。仲間から死に遅れたことか。弟を救わなかったことか。戦争に勝つためか。抱えているものは個人によって違うと思うが、そこには、罪や後悔、あるいは恥、などといった共通項があるような気がする。
じゃあいったいなんで、そういったものにけじめをつけることがこんなにもこの映画の中で求められているのだろう。考えてみると、そういった方法でしか前に進めないものがあるからかもしれない。それは、心理の中にある個人的なものから、社会が抱える集団的なものもあると思う。みなそういったものから前に進まなければ生きていけないと感じているのかもしれない。あるいはそういうプレッシャーにさらされているのかもしれない。
自分も前に進むためのけじめとして、きっと何かを殺したり捨てたりしてきたのだと思う。それも多分知らず知らずのうちに。
でも、前に進むって果たして本当にしなきゃいけないことなの?とも思う。
疑問のテーマがデカすぎて一周まわってバカっぽい疑問になった気がする。
レベルとしては、なーんでおなかはすくのー?みたいな感じ。
ただ、この映画から受け取った種のひとつとして、大切にしていきたい疑問だなとも個人的には思っている。
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