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愛のコリーダ 修復版のlemon82のレビュー・感想・評価

愛のコリーダ 修復版(1976年製作の映画)
4.5
愛に果てはあるのか。

人を好きになって、お互い好きあい、SEXをしたとしても、好きという気持ちがそこで終わりで、そこで満たされるという事が無いということに絶望する。

そんな人は少なくは無いんじゃないか。

この映画に出てくる阿部定は実在の人物であり、実在の阿部定事件を元にしている。

またこの映画のSEXシーンは本番行為なのだけれど、初体験の相手に半ばレイプのような性行為をされたり、その後も自分の性を切り売りしていた定は、性によってしか自分の価値を見い出せて来なかった典型的な性依存症であり、そのような定の性への異常なまでの執着を表現するのに、この生々しさはとても重要だと思えるし、またそれなのに何故かAVのような陳腐なエロさではなく、芸術的なまでに、身体を重ねても1つになりきれない男女の切なさが浮き彫りにされていて悲しい。

特に定と吉さんの首絞めシーンが切なく、このような特殊なプレイのシーンでここまで心が痛くなったことは無いんじゃないか、と思うくらい、美しいシーンだと思った。

吉さんの底知れない優しい愛と定の底知れない愛への渇望が、交わった時に生まれた悲劇。

20代前半の頃観て、最後何故か号泣して涙が止まらなかったけど、また見直すと、定と吉両方の気持ちが何故か理解出来てしまい、相変わらず切なすぎた。

そして、昔見た時より、定エロくて綺麗だなぁ。と純粋に思った。
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