ねぎおSTOPWAR

三姉妹のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.6
ひとこと、傑作ですね。

万人受けはしないかな。
性別や育った家の諸々が影響するので響き方はそれぞれかとは思います。
実際身近に三姉妹がいるかどうかもね。
実はわたしの近くにおりまして、「あぁまさに!」とか「あるあるだね!」と思いながら観ておりました。

まあ男女の差もあるので、終盤まではね、女性なら共感して泣くような場面でも色々と憤りながら(あるいは「なんで女性はこういう時にこう出るかなあ」と頭の中で呟きながら)観ていました。
脚本も書いた監督イ・スンウォンさん(長女役キム・ソニョンさんの実夫)が男なんで、それはそれで驚異的な男性だなあと。だって日韓の女性の共感を得まくっているわけでしょ?
プロデューサーとしても名を連ねる次女役のムン・ソリさんや妻ソニョンさんの力もあったかとは思いますが、まあお見事。
いやあパンフに当然書いてあったけど、近年「はちどり」「81年生まれ・・」とさ、韓国におけるジェンダーの物語がググっと出てきたわけで。ムン・ソリさんも言うようにこの家父長制って日本にも通じる部分。日本においても家庭や教育現場での暴力が多数ニュースになっている今、他人事ではないですよね。「オレの若い頃はさー」って言う人は観るべきかもしれない。


何よりもクライマックスの力が凄い。
そこまでの左右に頭振り回されるような感覚があったから尚更ね!
ここからの伏線回収も素晴らしいし、もうね、なんだあの砂浜ロングの映像!絶品ですって!!
わしの中の韓国映画史に残る名場面!!
後ろに”あの4人”を歩かせる感性が素晴らしいと思う。
あれが韓国映画が描き続けるもの。
何があっても大切にする絆。
儒教なのかもしれないし、なんだか知らんけど、ザ・韓国。
日本人はもっとクール。
たぶん日本がやるとベタだと感じると思う。
自然にそこに帰結するのが韓国だし、とーーーっても大好きな部分。




**以下自分でネタバレなのかがよくわからなくなっています。









それがね、シナリオが秀逸だと思うわけ。
パンフにこれも書かれていたけど、確かに映画観ながら「アボジ」って言葉のダブルミーニングについては考えたもんなあ。シナリオが見事なのはキリスト教が深く関与している点。次女は教会の執事(?だったかな?)で毎食お祈りをするわけです。そして一事が万事「父(アボジ:神という言葉は使わずFatherと言う)が与えてくださった・・」となる。そして実の父はかつての暴力によって子供たちの心を深く蝕んできたわけで。
そして次女はこれまた旦那のことも、娘のことも、妹のことも、合唱隊の不倫相手も、自分の過去も・・・全てを「父よ・・」と我慢し続けている女性。

長女はまた次女とは別の我慢を”強いられている”女性。彼女はたぶん信仰はない。自傷の描き方と実の娘の恋の相手との対比も上手い!

そして三女はテンプレ通り、<我慢しない>!!www
本人は我慢していると思っているところもミソ。姉たちは「こいつもいつか大きくなればわかる」と信じているのもテンプレww
たぶん一生変わらないww


さて今作、気にはなっていたものの後回しにしていたら、お友達のなつさんからご指摘いただき「こりゃ大変だ!」と急ぎ観に行った次第。ありがとうございました。



最後に
役者たちの実年齢を見てゲラゲラ笑ってしまいました。
①三姉妹の次女役ムン・ソリさんは長女役キム・ソニョンさんの2歳上!!
 ムン・ソリさんの若さ! と ソニョンさんのオバさんルック!w

②三姉妹の三女役チャン・ユンジュさんはソニョンさんと4つしか離れていない!!
 10歳は離れているように見えたけど!!

③三女の旦那役ヒョン・ボンシクさんは三女よりも4歳下!!不倫関係の女子よりも2歳下!!
 女子の若作り!! と ヒョンさんはなんてオッサンルック!!!w



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