ピートロ

三姉妹のピートロのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.3
終盤までずっとイライラしっぱなしのストレス状態が続く。
しかしこの「イライラ」は悪い意味でのそれではなく、本作が非常に効果的に作用している証左としての「イライラ」である。
個性的な三姉妹役のキャストらの演技がみな巧すぎ。
韓国が抱える家父長制の弊害や男尊女卑などの深刻で根深い問題が見事に描かれていた。
構成や演出も巧みで、不快感を覚える絶妙なタイミングのカット、長女ヒスクの娘・ボミの好きだった男のパフォーマンスと彼女のラストの台詞がもたらす結果とか、感情を出さない(漏れてるけど)次女ミヨンの心理状態をカメラワークで表現したりなどなど。
去年観ていたら絶対2022年マイベスト10に入っていたなあと思える傑作。

他のユーザーの感想・評価

samg

samgの感想・評価

3.4
なんとなーく息苦しさを感じる映画。
韓国の家父長制の犠牲になった子どもたち。大人になって無理をしてどこかに歪みが現れる。フォーカスされなかった息子が今もかなり苦しんでいるんだろうなと思った。
三女の夕ご飯を囲むシーン、凄くいい。暖かくて優しさがありクスッと笑える。
三女の旦那が息子に手を出した時に烈火の如くブチギレていたのは自分の父親が子どもに手をあげる人だったから許せなかったんだろうな。
年老いても「悪かった」の一言も言えない父とそんな父をかばう母。ゆがんでるー‥
ふた

ふたの感想・評価

4.0
自分の気持ちをただ受け止めてくれて、ときには共感してくれて、否定せずに見守ってくれる存在があると人は変われるのかもしれないと感じた。でも、それは他人だからできることで、そのような姿勢が大切だと頭ではわかっていても家族だからきつく当たってしまうことがあると思う。相手に期待しすぎるとその通りにならなかった時に裏切られたと感じるし、期待しないと相手にそれが伝わって自分を見てもらえてないと捉えられてしまう場合もある。家族との距離感・関わり方って本当に難しい。
Ryoma

Ryomaの感想・評価

4.2
演者さんたちの凄まじいほどに感情剥き出しの演技がとにかくすごかった。姉妹という身近すぎる存在だからこそ言えないこと、それ故向き合えてこなかったことが露呈し感情剥き出しに言い合う様は見てて胸がぎゅっと締めつけられるほどに苦しいけれども、同時に、溜め込んでいた悩みや苦しみ、悲しみなどの負の感情をぶつけ合いそれをお互いに受け入れようとしていた様子に上辺だけではない着飾らない人間らしさを感じ、単調なハッピーエンドものよりすっと響くものがあった。また、生きていく中で姉妹それぞれが抱える苦悩が鮮烈に描かれていた前半部では本当に痛く苦しかったけれども、一気にそれらを昇華しつながっていく後半部では報われるというか救われるというかなんかじんわりくるものがあってよかった。うまく表現できないけれど…伏線が一気に回収されたような。
韓国映画特有のあらすじのみで展開が読みきれないとこもあり、ハッと気付いたときにいっそう胸にくるものがあっていいなと改めて思った。ラストのショットも最高だった!
野菜

野菜の感想・評価

3.8
結構前に観た。うちも姉、私、妹の三姉妹なのでどんな三姉妹が描かれるのか気になった。血が繋がっててもなんでこんなにも違うタイプの人間ができるんだってところは大共感した

前半はボヤッとしてて最後すごって感じだった気がする。特にエモーショナルな気持ちになることもなかったけど、映画を観ている間ずっと一本の鋭い矢が体に突き刺さってるような感覚がした
ペコ

ペコの感想・評価

3.6
波乱万丈な3姉妹の日々を描いた本作。みんな色々と“ふり”をしながら生きている。完璧なふり…大丈夫なふり…酔ってないふり…。この三姉妹のような壮絶な人生を送ったことはないけれど、“ふり”をしたことはたくさんある。思い通りにならない人生は何故なのか…韓国という国の文化がそうさせているのかもしれないし、両親の育て方のせいかもしれないし、自分のせいなのかもしれない。神に祈っても何も変わらない。自分で変えようとしなきゃ何も変わらない。長女ヒスク、次女ミヨン、三女ミオク、それぞれが悩み苦しみ這い上がろうとする姿は見応えがあったし、1人じゃ出来ないことも姉妹が集まれば出来ることがある絆の大切さを感じました。他人よりも家族のほうが、付き合い方が難しいことってあるのかも。3姉妹の癖のある性格に誰にも感情移入はできなかったけど、後半になるにつれて両親との確執が分かってきて面白くなってきました。
希望の光が見える終わりは良かったのですが、3姉妹よりも、ほとんど登場しなかった弟の方が辛い人生を送っていそうで気になりました。

宗教に人生を狂わされる家族…どの国でも根深い問題ですね。
"触れたくない痛み"は触れずに癒すことは難しいのかもしれない。
辛すぎて蓋をしてしまいたい過去を消化することもできず、やり過ごしているつもりが、やり過ごせていない。
向き合いたくない過去とも帳尻を合わせながら生きられるようになる時がいつかやって来る。
kuui

kuuiの感想・評価

-
内容の前にキャストで見ることを決めた作品。

両親の責任の重さよ。
長女と弟をみると、幼少期に受けた傷は消える事はないんだと思ったし
次女と三女をみると憎んでいても結局家族ってどこかしら似るんだなと思った。

終わり方、前を向いて歩き出すような少し光が見える感じで良かったな。
Poohbear

Poohbearの感想・評価

3.8
育った環境が酷すぎるけど、三女のキャラが好きになった。三女がご飯を作ったときには周りのお客さんが沢山笑っていた。
Eri

Eriの感想・評価

3.5
ほっこり三姉妹の物語🌟かと思いきや、それぞれの家庭に問題を抱えた過去にトラウマのある三姉妹の物語でした😂😱😱

8割重めでしたが(笑)
ラストは過去のトラウマと向き合い
前に進もうとする3人が綺麗に
見えました☺️✨✨✨


三姉妹の紹介です👐

🌷長女ヒスク
この方『愛の不時着』で村の人民班長だったのでちょっとテンション上がりました🥺✨笑
→毎日イライラしている娘あり
旦那の残した借金の返済の日々
ガンが見つかり誰にも言えずにいる


🌹次女ミヨン
→高級マンションで夫と子供2人
キリスト教の模範的信徒で秩序を重んじているが、自分を押し殺して生きている


🌻三女ミオク
→脚本家で毎日酒とお菓子を食べてはイライラして次女に電話でわめく
義理の息子とはギクシャク



次女がまともかと思いきや、
そうでもなかったのには
笑ってしまいました🤣🤣
普段感情を押し殺している分、
爆発した時がすごいですね😱💣💥


3人は過去のトラウマについて
触れないように生きてきたけど、
やっぱり向き合わないと進めない
ことってあるな〜と🤔


ここからネタバレありです↓


幼い頃に父親からの虐待👊
大人たちに通報してと助けを求めても
謝って許してもらいなさいって😱
すごい時代があったんだなぁと
驚きました😨

父親へこの時の恨みを誕生会で
ぶちまけた時はめちゃくちゃ
スッキリでした😭✨✨✨

臭いものには蓋をすると言いますが、
蓋を取って中をちゃんと見るのも
大切なんですね、、
勇気はいりますが👊
これも劇場公開時にノーマークで、現時点でサブスク配信は無し。というわけで、先日行ったツタヤでたまたま見付けた韓国映画だ。

タイトルから三姉妹の話である事は分かるけど、揃って画面に映るのは後半になってからだし、互いの関係性を説明するような台詞は殆どない。ソウルで生活する3人の悩みや衝突を、緻密な脚本と圧倒的な演技力によって、ただひたすら描いていく。共感なんて生易しいものは無く、正直に言えば自分の周りにいて欲しくないタイプである3人。それでも、目が離せなくなるのだから、いかに巧妙に作られた映画であるかという事が分かる。

3人とも電話の使い方が下手で、それが原因で周囲の人達との関係が険悪になる。でも、良く考えてみたら、撮影時は実際に電話の向こうに相手がいるわけじゃないんだよね。そう考えると役者魂が凄い。

終盤20分辺りでようやく大きな展開を迎えるものの、物語としての結果を必要とする人には不向きな映画だと思う。「オアシス」のムン・ソリを筆頭とする3人の演技派女優に心を搔きむしられたい人向けの戯曲的な作品だ。
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4.2

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