こうみ大夫

ボストン市庁舎のこうみ大夫のレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
4.0
好きだったのは何でも飲み込むゴミ収集車と移民の職員に話すアイルランド移民の地位獲得の話。アメリカという国は被差別な人々がその地位をひっくり返すために、経済、政治、地域における要職、全ての権力を得る闘いをしてきた。それが良くも悪くもあるのはアイリッシュマンとかが教えてくれるが、あくまで「闘い」による権利獲得なのだとこの映画は伝えている。それはまさに女性差別のところで語られているように、相手に教えられ、こちらがどう「交渉」するかという戦略でしかない。たとえこの市長のように、市井に入っていき直接対話をすることが出来るような政治家が現れたとしても、それだけでは日本は変わっていかない。その先にある闘いを、市民全体が起こしていけなければ、決して権利など得られない、そのようなボストンの、アメリカの、執念が感じ取られる。ここまでのことをしても未だ6人に1人が餓え、当たり前のように銃やテロの脅威と隣り合わせ…一体アメリカはいつ落ち着けるのだろうか。
こうみ大夫

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