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マルコム&マリーのsaiのレビュー・感想・評価

マルコム&マリー(2021年製作の映画)
3.6
この作品を端的に表すなら「長年連れそう恋人と、イベント参加後の深夜に喧嘩する話」です。終始一貫して。ただ、面白いのは、マルコムとマリーそれぞれが深く愛しているからこそ、想う気持ちを本音で話すシーンに心が締め付けられるところです。

この作品は、長く連れそう恋人もしくは伴侶がいる(過去にいた)方々からしたら、「あーはいはい、あるねーこういうこと」「そうそう、男(女)ってこうだよねー本当わかる」と思うシーンが圧倒的に多いと思う。
喧嘩して、仲直りっぽい雰囲気になったけど、また喧嘩ふっかけて。泣いたり怒ったり謝ったり笑ったり。
でも、「わかるー」って思うのに、こと恋愛に関しては多くの場合、それを自分とパートナーとのやりとりには生かせないんだよね。何でだろうね。学んでるし経験してるはずなのに。
でも、「良いパートナーシップと愛情を築いているマルコムとマリーだからできる喧嘩なんだと気付かされる事」に、この作品を観る価値の一つを感じます。

個人的に、二人しか出ない(TENETのJDとゼンデイヤ)し、豪邸内と周囲の庭でのシーンしかないのが、なにか舞台っぽくて好きです。
あと、怒涛の様に言い合うシーンと、バックミュージックと絡み合う視線で互いの心情を表現するけど一切会話しないシーンと、その入れ替わりにメリハリを感じられて良かった。両者共にめちゃくちゃ長いセリフをよく言えたな!とある種の感動もする。
それと、お湯に浸かるマリーに対してマルコムが愛を吐露するセリフと表情に、深い愛が感じられてちょっと泣けました。
モノクロ映画っていいね。
sai

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