約35年前に作られた「ストップ・メイキング・センス」からニューウェーブらしさが全く褪せていないパフォーマンス、歌詞が貫き続ける「キミとボク」の世界観。謙虚且つ完璧な音楽は、最近の”映画監督”が「これだけやっていれば映画になる」などと主張して折角の映画を”みにくく”するきわどい話すら、「視点の一つ」として存在させてしまった。まるでノイズすら美しい音楽の材料とみなしたかのように。
これは映画というユートピアが本来持っていて、誰でも使えるはずの一つのテーマの伝導師を務めるだけにはあまりにも広大すぎるperspectiveの復活だ。長かった。気を病み体を壊す程長い待機だった。
恐るべしデヴィッド・バーン。この男、並の巨匠より映画を知っている。
