Reno

アクアマン/失われた王国のRenoのレビュー・感想・評価

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)
5.0
●●●全体として●●●

一作目に比べて大きく劣ることを覚悟して身構えて見たら、意外と酷い作品じゃなくて、見た後かなり良い気持ちになれた!!現行DC映画ユニバースの最後の作品としても思いのほか清々しい気持ちを感じさせてくれるラスト✨

ベイ監督のトランスフォーマーを思い出させる景気の良い壮大なスケール感、適度なコメディとアクションでビュンビュン飛ばす作風は、ロマンティックさや荘厳さもあった一作目とは違ったりもするけど、壮大さと表面的だとしても存在感はある人間ドラマ、多少の雑さがあろうと止まらず次から次へと進む展開、最低限これらがあるだけで、誤魔化されるんだね!笑

本当やってるシナリオはなんなんだこのどこかで見たことのある薄いSFファンタジーの組み合わせはって感じなんだけど、どんどん移動して見せてくれる華やかな海中&陸の異世界文明とクリーチャー、そしてワン監督ならではのゆっくり考えさせる暇もない矢継ぎ早な展開で、無理やり、まあ何はともあれ、ダレないから良いよねと思える不思議な強引さ。笑 

最近の作品であるMCUのマーベルズも、たまたまこれと同じことをやろうとしてたけど、強引さがうまく言ってなかったかなって。

いやでもだからそんななんか勢いで誤魔化された感のある好印象だから、今後数日ゆっくり落ち着いて振り返ったり、他の人や海外の感想も見たりしたら、いろいろ評価落ちるかもしれないけどさ笑 

とりあえず第一印象はうまく良い方向に掴まれました!!!


●●●以下トピックごとに細かく●●●

★キャラ一人一人について★
思いのほかちゃんとみんな活躍!

・アクアマン!主人公として申し分ない!相変わらず素晴らしいアクション!

・メラ!アンバーの泥沼裁判の件は抜きにしても、そもそも続編では出番減る予定って聞いてたから、想像より出番多くて嬉しかった!!確かに準主役だった前よりは断然減ってるけど、相変わらずかっこいいし、ちゃんとメインの一員!アンバー色々あったけどまたまだこのメラみたい!!

・オーム!劇中でもロキといじられた!!笑
良いキャラでしたね!!うまく味わい深くしてくれた!!

・アトランナ!それこそソーのフリッガみたいに、この人も死ぬんじゃないかってビクビクしてたけど無事でよかった!!もちろんかっこいい!メラもアトランナも「冷蔵庫の女」にならなくて一安心!

・シン博士!こんなに出番多いとは!!なんなら一番心情が深く描かれてたよね!!笑笑

・ブラックマンタ!相変わらず素晴らしい貫禄と力強さがあるんだけど、一作目であんなにかっこよく良いヴィランとしてデビューさせたのに今回、こんな扱いで良かったの??!とは思った笑 思い入れないから個人的にはそこまで残念ではないけど、監督同じとは思えない無駄遣い感笑笑 ほぼずっと取り憑かれて終わりじゃん!笑

・ゼベル国王ネレウス!メラの父!この人も予想外にメインでしっかり活躍してて嬉しかった!!!

・甲殻の王!この人も予想外にメインでビックリ!!!このちゃんとアッセンブルしてる感じ良いじゃん!!まさかこんなメインで再登場するとは!良いキャラしてた!

・評議員カーション!ドラマ「POSE」でおなじみトランス女性の女優インディア・ムーアが脇役ながらアメコミ作品で魅力的なキャラを演じてたのは嬉しい限り!!✨もっとセリフもほぼないくらいの脇役かと思ってたから、この程度の出番でも、思ってたより出番多かったと言える!笑

・ちなみに今回マンタに取り憑いた、アトラン王の狂った弟コーダックスを演じたのは、ゲームオブスローンズでも海の邪悪な王弟ユーロン・グレイジョイを演じたピルー・アスペック!似た役!!笑 あとコーダックスと失われた王国の部分はなんかロードオブザリングっぽさやパイレーツオブカリビアンっぽさもあったよね!

・もう一つちなみに、撮影中には予定されていたバットマンのゲスト出演はありませんでした!!アフレックもキートンも出ませんでした!!

★一作目と比較して★
確かに一作目がシナリオ・テンポ・演出・ビジュアル全てが奇跡的にマッチ&スパークして、相互に良さを引き出し合う輝きある傑作だったので、それと比べると物語としては見劣りするけど、まそれでも大きくスケールダウンすることなく、この種の映画として必要な弾けるような華やかさをキープした楽しくボリュームのある作品になっているだけでも、十分評価できると思いました!!

これが海中世界っていう他にない個性的なものじゃなかったら、誤魔化しが効かなかったかもしれないけどね。同じような話を地上や宇宙でやったら途端に凡作度が爆上がりしたことだろうと思う。

★キャラクターの人間ドラマ★
一作目に劣る一番の部分はキャラクターだったと思う。一作目はかなりメンバーみんなの人間ドラマ、人物描写がしっかりしてて、それが映画の良さの根幹だったじゃん。だけど、今回はみんなあんまり濃く描かれなくて、表面的で、たったかたったかしてるから、ある意味、大味なブロックバスター感強まっちゃってたかなって。

ただ思いのほか一作目をしっかり引き継いだ描写なのは嬉しかった!!各国の王達もしっかりメインで出てきて、みんなの関係性に一作目の出来事が色濃く影響してるたのも本当嬉しいサプライズ!当たり前かもしれないけど、意外とMCUに慣れてる今だとこんなふうに直線的に繋がるのも貴重に思えちゃうんだよね。MCUはMCUで当然良いんだけど、間にクロスオーバー挟んだり、ヒーロー多くて単独作品の順番回ってくるの遅くなったり、一個一個で新規にもとっつきやすくを意識し過ぎたり、いろんな監督に任せたり、といろんな要素故に一作目と2作目が結構離れた存在になること多いからさ。それはそれで良いものになることだってあるし、一概に悪いわけじゃないんだけどね。

あとストレートに一作目の映像をフラッシュバックで使うのも良いよね!!意外とこれも他の作品あんまりしないじゃん!!

メラとかネレウスとか甲殻の王とかこんなに出番あると思ってなかったから嬉しいよ!!(それにしても、一応メインストリームの作品なのにキャラクターポスターすらほぼ出してくれない時代になっちゃって、、)

みんなちゃんと一作目を踏まえた感じなんだけど、ヴィランの動向、アクアマンサイドの進行、挟まるコメディ、華やかなアクション、ちょっと傷ついてしんみり、次の戦い!みたいなのがどんどん繰り返して繋がれた感じなのは、良いのか悪いのか。一作目もよく爆発で次で進めるみたいな好意的ないじられ方をしてたけど、一作目ほど上品で整理された印象は感じないよね。飽きない作りといえば飽きない作りでテンポ良く感じさせてくれるから、完全に悪くはないけど、なんか落ち着きと笑いとしんみりとクールとファンタジーがあんまりシームレスじゃなくて忙しない印象はあったからさ。

★その他のノイズを踏まえて★
特にこの数年は
・アンバー・ハードの泥沼裁判とその結果により、アンバーが微妙な立場へ
・ガン監督の統率によってDC再始動が決定して、現行作品は軒並みシリーズ終了
・ワーナーの落ち着かない経営体制
・アメコミ映画全体のピークアウト(天下のMCUですらクアントマニアやマーベルズが苦戦)
・そしてストライキや作品過多によるPR費用削減
・VFX制作現場の過重労働

などなど映画業界全体にあまりよくない状況があって、元から色々言われがちなDCはまだしも、マーベルですら色々と言われる時代になってしまい、アメコミ映画には厳しい時代にになってしまったなとしみじみ。プロモが年々、控えめになってるのしっかり感じるもんね。

その中で、アイアンマンやキャプテン・アメリカ、ブラックパンサー、バットマンなどのように人間ドラマに明らかに力入れた骨太の作品ではなく、それらの作品がアメコミ映画の社会的地位をあげてくれたからこそ、マーベルズやブラックアダム、シャザム、ヴェノムなど各社肩肘張らない、一周回ってコミカルなブロックバスター系も増えてきたけど、今作は絶妙なバランスが保たれていて良かった!!さすがにブラックアダムやヴェノム、マーベルズは軽過ぎたから、たとえ軽く楽しめる作品にしたかったとしても、このくらいの硬さは残してくれなきゃねって思えた!そんな作品!伝わるかな笑 

だから今作もDCブランドの悪評やシリーズの打ち切りムード、アメコミ映画の平均クオリティ低下などのマイナスイメージに引っ張られて過小評価されないことを願いたい!!



★現行DCの終わりとして★
そして今作が気持ちいい大きな理由の一つ、ラストがすごく好みだったんですよ!!

アクアマンがついに海中文明の存在を地上社会に明かすんです!!海中社会と地上社会に橋をかけるという、たとえガン監督の新DCUに引き継がれず、これが現行のアクアマン最終作になるとしても、非常に良い幕切れと思える素晴らしい帰結!!

国連を集め、スピーチするアクアマン素晴らしかった!!!まさかこんな酔い終わり方するとは!!

「ブラックパンサー」一作目や「アイアンマン」一作目、ドラマ「スーパーガール」のシリーズフィナーレを思い出した!!こういう終わり方本当好き、、

ブラックパンサーとアイアンマンの場合、一作目のエンディングだから始まりだけど、スーパーガールのように終わりにこういうの持ってくるのもそれはそれでエモさがあるし、フルサークルって感じがして良いんだよね、、

ありがたい

当然、もともと現行DC映画ユニバースの集大成として計画されてないただのアクアマン2だから、マーベルのエンドゲームのようなものは望めないわけで、そうなるとやっぱりこの方向性の終わりはベストだよ!!!アクアマンシリーズとしても一つのフルサークルを迎えて、めでたしめでたしと思える!もっと見たいし、着く余地はあるけど、希望を持って明るく前を向いて幕を閉じる。これって今の特別なことができない状況でできる最高のフィナーレじゃないですか

ということでワーナーとDCの長年に渡る数奇な運命の果てに、はからずも現行DC映画ユニバースの最後の作品という役割も背負ってしまったわけだけど、それに相応しい気持ちよく感慨深いフィナーレになっていたのは素晴らしい運命✨

ザ・フラッシュだって、どうせ新DCUに綺麗に繋がらないんだから、元々のバットマンとか出して、良いお別れにしたら良かったのにね!!あんなジョージクルーニーのバットマン出して笑いに持ってくなんてセンスが無さすぎるよ!!失笑だよ!!笑

現行DC映画ユニバースが始まったのは2013年のマンオブスティールだからちょうど10年、キリの良いフィナーレ!問題もあったけど、素材として積み上げられた世界観は好きだったから寂しくなるな、、

このアクアマンに限っても、アトランティスのロイヤルファミリーみんな魅力的だったし、こんな壮大で美しくワクワクする海中文明の世界観はまた一からやり直しなんて勿体なく感じるよね、、まあガン監督だってすごい才能あるから良い世界を用意してくれるだろうけどさ。

★終わりに★
ということでお別れ作品の予定なかったのに、色々あってお別れ作品になってしまったわりに、予想外に素敵なお別れ作品になっていました!!!

全然良い意味でDCブランドやアメコミものというジャンル関係なく楽しめる作品なので幅広い人に楽しんでもらいたいなって思えました!!

そしてあわよくばワーナーの諦めムードとは裏腹にまあまあヒットして、ガン監督がピースメイカーなどのように新DCUでもこのメンバー使おうって思ってくれますように!!!笑
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