「メキシコの妻のところにいる息子を連れてきてくれ」。そんな誘拐じみた依頼に応えたのは、元ロデオスターの老人。親の愛を知らない子供、それと一羽の鶏を車に載せた米国国境までの旅路が描かれる。
トラディショナルなロードムービー。こういった系統の映画の良いところは、特にも道中の会話に詰まっている。この映画でもそこはしっかりユーモラスに描かれており、徐々にお互いを認め、信頼しあっていることが経過的に分かるような作り。
一方で、特筆して秀でた描写はというと…。ストーリー展開など、決して悪くはないのだが、どうしても同監督の『パーフェクトワールド』等と比較して観てしまうところがあり、もう一つ何かを期待したままで終わってしまった感はある。
道中はちょっとギスギスしているところもあるが、ラストシーンはものすごくさっぱりとしている。が、個人的にはもう少し尾を引くような終わり方が好みだったかもしれない。