風来坊

クライ・マッチョの風来坊のレビュー・感想・評価

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
3.5
イーストウッドさんと言えばその輝かしいキャリアを軌道に乗せた西部劇のイメージが未だにある。
その原点回帰というか懐古中なのかと思ったら原作は古い小説。
後で記述しますがこれに纏わるお話が映画よりも興味深いという(笑)

イーストウッドさんと馬、やっぱり映えるなぁ。
原作があっても孤独な偏屈じいさんが価値観の違う人々に出会い、考えを変えて行く感じはイーストウッドさんお得意のいつもの構成だと思いました。
少年やメキシコの田舎町の人々との交流が沁みる。

しかし…そこに重点を置きすぎて、いわば追われるストーリーなのに緊張感が無い…。状況から仕方ないとはいえ、田舎町でのんびりし過ぎ(笑)
そういう意味ではハラハラドキドキとは無縁の逃亡劇で不思議な感じ。

この時は御年91歳のイーストウッドさん。相変わらずバイタリティ溢れてますね。しかし、やっぱりおじいちゃんなので、転んだりしないかとか心配する目になってしまう(笑)
やっぱり1つ1つの台詞に重みがあるのは、太い人生を生きているイーストウッドさんだからこそと思う。

少年との心の交流に時間を掛けた割には別れはあっさりでした。
人生はタフで儚いものという現れなのかな。2人の旅路にスパイスを与えるマッチョの存在感も良かった。
ハッピーエンドのマディソン郡の橋っぽいところも良い。
緩い感じは賛否両論だとおもう。涙腺は刺激されないけど、まあ良い味わいの映画だなと思いました。

この原作は1981年当時にイーストウッドさん主演でオファーがあったそうで、当時はこの役を演じるのは若すぎると断ったそう。
監督ならと快諾して企画を開始するものの、主演選びに難航して結局は当時人気のロイ・シャイダーさんで撮影開始するものの紆余曲折あって撮影中止に…。

その後、シュワルツネッガーさんなど色々な人の元で映画化が企画されるものの落ち着かず、巡り巡って再びイーストウッドさんの元へ。
この数奇なエピソードの方が正直、面白いなぁと思ってしまった作品でした。
風来坊

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