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ハム・オン・ライのsonozyのレビュー・感想・評価

ハム・オン・ライ(2019年製作の映画)
3.5
タイラー・タオルミーナ監督の長編デビュー作。
MUBIが「リチャード・リンクレイターの世界で始まり、デイヴィッド・リンチの世界で終わる」と紹介していた何とも奇妙な作品。

アメリカのどこかの田舎町の「Monty’s」という店でプロムのような位置づけ?で開催される不思議なパーティに集まる高校生たちのお話。
時代は特定されておらず、60’s〜90’sが混ざった感じ?

彼らは祖父母が着ていたドレスやスーツに身を包み、かなりの距離を歩いて店に向かう。

白いドレスの女子3人組、ヘイリー(この子が一応主役的)、グウェン、トリッシュは、途中、森の中に座りグウェンの姉から届いたポストカードの内容を読む。
このシーンが印象的ですが、懐かしい3D(レンチキュラー)ポストカードで裏面に宇宙船と祈る手の不思議なビジュアル。

他に、赤や紫のチュールにデニムジャケットのキレイめガール3人組がキックスケーター乗ってたり。
松葉杖の少年含む4人組は途中でパニックになった1人だけ帰ったり。
父親が気合入れて頑張ってこい!的に男子を送り出してたり。
集合場所では女子が突然男子を殴りつけてたり・・

店に着くと、ならわしなのか、ウィンドウのMontry’sロゴの下にある手形マークに手を合わせてから入店していく彼ら。

しばし無言で頼んだサンドイッチを食べるタイム。
※この後、男子2人がヘイリー達3人に「何食べたの?」と声をかけ「Ham on Rye(ライ麦パンのハムサンド)よ」と答えるシーンでタイトルが出てきます。

チルな音楽に合わせて各自がヘンテコなダンスからの、音楽のテンションが変わると、参加者が店内で輪になる中、1人づつ希望の相手を指さして、いいね(サムズアップ)かNG(サムズダウン)をもらうマッチングタイムへ。

グウェンとトリッシュはさっさと相手が決まる。
ある男子は女子からサムズダウンしかもらえず、脱力。
まだ相手が決まらないヘイリーは店から出て行ってしまう・・・

ここから後半はデヴィッド・リンチ的なテイストも感じさせつつ、何かが起こりそうな展開へ。

すべてが幻のような、小さな田舎町の若者の将来への不安・閉塞感・喪失感といった普遍的なテーマのような。
このとらえどころのなさが魅力のこれぞインディー作品。
音楽やサウンドデザインも良かったです。
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