捨てられるものにしか絵を描かないカフェ店員の七星。
他人との交流にも消極的な彼女はある日の夜、ビルの屋上で不思議な雰囲気を持った女性・月子と出会いおかしなシゴトを依頼される…という短編作品。
とても雰囲気が好きな作品でした。
短中編作品って雰囲気すごく大事。
主人公の七星のキャラも等身大だけどコミカルで好き。
たぶん七星が捨てられるものにしか絵を描かないのは“思い出”を必要としていないから。
過去はその場に置いてきて、常にリセットできるように生きていきたい。
だから、残り続けるスケブじゃなくて使い捨てのカップにだけ“今”の自分を表現していたんじゃないかな。
でもそれは同時に、良い思い出すら忘れて、それを作る事すら避けると言う事。
でも人は誰かとの繋がりやその人達との思い出に支えられて生きていたりすると思うのです。
七星と月子の出会いはきっと、お互いにとって心の奥底に残り続ける大切な記憶になるんじゃないかなと思います。