私のようなアラフォーおっさんでもアメリカの女子高生になった気分を味わえる青春キラキラLOVEストーリー第3弾。
韓国系アメリカンのララ・ジーンはイケメンの彼氏と同じ大学を受けたが自分だけ落ちてしまい…という少女漫画によくあるベタな展開なのに、半端ない共感力のためヒロインと一緒になって切なくなってしまう恐るべき作品。
前作までの勘違いコメディはなりを潜めて、本気で将来に悩む若者達を描いている。優秀なラブコメとは恋を描きながら人間的成長を描くことだと信じてる私としては、この展開には納得した。
自分の夢か、彼氏かを悩むララ・ジーンとシンクロしながらも、その彼氏の気持ちにも共感しまくり、さらに娘を見守る親父の気持ちまで入り込んで、もう作品世界にどっぷり浸かって胸が張り裂けそうだった。
自分まで3年間付き合った彼氏と離れる気分と、彼女がいなくなる不安と、娘が巣立って行く切なさのトリプルを味わえる稀有な体験。シリーズ3作ともなると、こんな自分事として捉えられるのだと驚く。何気に三部作全部面白いとかロード・オブ・ザ・リング並みの凄さ。
そんな中で最後の最後、作品の舞台設定が2021年であると分かって驚愕。当たり前なのだがコロナ禍の前からシナリオは書かれ、恐らく撮影中に発生したはず。なので誰もがマスクなんてしてないし、コロナなんて言葉も出ない。
元々、この作品にはアジア人差別など描かれなく、親友であるゲイの黒人も葛藤は描かれない。そんなファンタジーな所が目指すべき世界を描いているように見えて気持ちの良いシリーズだった。
しかしコロナ後に見ると完全に別の世界線に分かれてしまったという、SFのような不思議な気持ちになってしまった。もう戻れない世界を見せられて呆然となったのだ。
別の世界に行ってしまったララ・ジーン。だけど、また数年後に大学生篇を観てみたい。その時にコロナ禍を描かなくても良い。
ただララジーンの家族の一員もしくは彼氏気分となった視聴者に、その元気な姿を見せて欲しい。
別のタイムラインで幸せに暮らしているアメリカンアジア人をいつまでも観ていたい。そんな夢のような物語だった。