大傑作‥なのにこんなに人に勧めにくい作品もないだろう。
モニカ・ベルッチの泣き叫ぶ声が頭から離れない。かの有名な長尺の暴行シーンがせめてもう半分の長さで描かれていれば、何かしらジャンル分けが出来る作品になっていたのかもしれない。そういうジャンルの映画だからと飲み込めたのかもしれない。せめてカットを割ってフィクション度を高めてくれれば、心の拠り所を見つけることができたかもしれない。でもギャスパー・ノエはそんな手ぬるいことはしてくれなかった。
本作の前では残酷さを売りにした数多の作品がいかにその「残酷さ」を観客が消費しやすいように加工していたかが分かる。そう思わせるほどに本作には観客の心をエグってくる真の恐ろしさがある。無惨なものがただ無惨なものとしてそこにある。
ギャスパー・ノエは、挑戦的という言葉が陳腐に思えるほど、「現実」に対して非常に真摯なアプローチをとっている偉大な監督だと思います。
