なも

アレックス STRAIGHT CUTのなものレビュー・感想・評価

アレックス STRAIGHT CUT(2020年製作の映画)
4.0
あらすじなど一通り目を通し、覚悟を決めて劇場で鑑賞(落ち込むだろうと思い昼間の上映時間をわざわざ選択)

個人的にひとつの作品を観て喜怒哀楽の全てをフルに感じられたのではないかと。
初鑑賞がこちらstraight cutの方でよかったかもしれない。時系列が正されてスッと物語が入ってきたから。
最初のアレックスとマルキュスの日常が本当に好き。こういうなんてことのない風景がたまらなく愛おしく思えた。

それからは “最悪” を終始見せつけられて疲弊。
9分間のシーンは地下道に入る瞬間から心臓バクバク。胸糞だという気持ちと怒りの感情がごっちゃになるなんともいえない初めての体験。

マルキュスがキメていたとはいえ、わたしも大切な人が酷い目に遭えば見境がつかなくなるほど怒りに支配されてもおかしくないよなと。
だからこそレクタムでのテニアのしたり顔?に物凄く腹が立ちました。
これ仮にアレックスが一命取り留めても、彼女の心の傷は癒えないだろうし、テニアはピンピン、ピエールお縄のマルキュス自分を責めまくりでどの道最悪ですね、、、

通常盤も観たいけれど、9分間の箇所をもっかい観る必要があること。そして冒頭のスターチャイルドのところに辿り着いた時、今度は『この後あの惨劇に見舞われるのか、、、』というまた違ったやり場のない気持ちに見舞われること必至なので未だ遠慮しています笑

けれどもノエ作品に出る建物や美術の雰囲気が好きだし、なんだかんだ映画館で観られたことに感謝したくなった作品。
このご時世、このような作品は映像化できても上映するためのハードルは当時より更に高いかもしれませんし。
今回よく無事に上映できたよなあ。

鑑賞中さまざまな感情が爆発したのにも関わらず、最後はこの作品を生み出したノエさんと上映してくださる劇場・配給会社さんに対する感謝の気持ちでいっぱいになり、帰路につくという不思議な体験。

この日帰り道はなるべく大通りを通るか、後方をしきりにチラチラしていたかな。

ベートーヴェンの第七が流れましたが、恐らく園子温監督はこれを観たこともあり、『愛のむきだし』でのローマ人への手紙のシーンでこの曲を使ったのかなぁとふと思いました。
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