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フレンチ・イグジット さよならは言わずにのArkのレビュー・感想・評価

3.9
2023-121
お金を使い果たし破産したフランシスは息子マルコムとネコと共に、フランスにある親友の家で過ごすことにする。働かずとも裕福だった彼女は人生を振り返り、引き際を見極めるかのように金を消費していく。


仕事をしなくてもずっと裕福だったら、貧乏なりにそれなりの生活をしていくという選択肢がないのかも。フランシスは金が無くなったら終わりだ、この金が尽きたら死のう、と考えている。
それか、支出を調節して細々と生活するのは金が尽きたら死ぬから、つまり生きていくためだから、生きる気力を失っているフランシスにはそれをする気が無かったのかも。

他人には幸せに見えても本人が幸せかは本人しか分からない。幸せ・不幸せは人によって違う。失ったら生きていけないと思うくらい大事なものも人によって違う。

遅い時間にフラフラと夜道を歩くフランシスの後ろを静かについて行く黒猫。最後に彼女がどうしたのかは、彼女と黒猫のみぞ知る。

2人ともちょっと変わっているところが好き。
フランシスは思ったことを口に出し意思表示もハッキリするが、悪いと思えば素直に謝る。マルコムも一風変わった母のことを分かっているのでとりあえず静観している。そしてマルコムもフランシスのような変わった一面がある。

フレンチ・イグジットは、警告なくそこから去ることをいう俗語らしい。
軽快な雰囲気で進められていき、たまにクスッと出来るシーンもあるので重さを感じにくいが、割と人間の心の深いところに触れる作品なんじゃないかな。
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