ゆいっち

14歳の栞のゆいっちのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.0
よく飲みの席などで「子供の頃に戻りたい」と口にする人がいる。その発言には「子供の頃は仕事に対する責任などがなく、悩むこともなかったから」という考えが根幹にあるのだろう。しかし、果たして本当に悩むことがなかった中学時代を過ごした人などいるのだろうか。
本作はとある中学校の2年6組36名、1人1人へのインタビューを中心にそれぞれの学校生活をみるという、いわゆるドキュメンタリーだ。おそらく彼らとの関係づくりがうまいスタッフ陣だったのだろう、36名のほとんどが自分の本心を赤裸々にカメラに語ってくれるのだ。
36名の中には楽しく学校生活を送る生徒もいれば、周りの人のために自分を殺している生徒や自分のことが嫌いな生徒、学校が楽しくないという生徒もいた。私はなんとなく、今大人になった自分とどこか重なるものを感じた。作中のとある生徒は「中学生は大人ですよ。」と言っていたがまさしくその通りかもしれない。大人になってしまった我々もかつてはクラスという、学力や運動神経もバラバラで、性格も千差万別な混沌とした空間において「社会」というものを知ったのではないだろうか。
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