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14歳の栞のMSTshoziのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.2
編集の力。目を引くカットで飽きさせない。映像が作品感を持つことで、それをリアリティから浮遊させることに成功している。フィクションのような作風の中でのドキュメンタリー。逆に際立つ。

ストーリーの展開というよりは、このクラスへの入り込み、提示するエピソードのタイミング、反復、時系列との重なり。生徒たちの関係性、考え方、その切り替えと配置。その有り様を真摯に見つめていないとできない作りに思える。

今や中学生は皆スマホを持っている、自分とは世代が違う、などと勝手に思っていたが、あの頃の多感で勘違いな、窮屈で開放的な姿がある。自分のあの頃を重ねてしまう。それは彼ら、彼女らのありのままの言葉や姿だからこそかもしれない。

人間が生き物として成体になる過程。集団で生きる生き物として発展してきたということ。
冒頭のカットの価値。

あの頃自分が何を考えていたのか。今とたいして変わらない気もする。
今自分がどういう集団の中で、どんな集団と、どう関わって生きているのか。

震災の時避難所で手伝いをしてくれた中学生。少しだけしょうもない話をした彼のことを思い出す。
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