かまぼこ権八郎

14歳の栞のかまぼこ権八郎のレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
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求心力抜群の企画、被写体も魅力的、なはずなのにドキュメンタリーとしてはイマイチな印象。

もし自分が中学生の時にこの映画のノリで撮影クルーに密着されることを知らされたら間違いなく登校拒否していただろう。

そう考えると、被写体の生徒や両親を説得した人が1番の実力者、功労者ではなかろうか。

閑話休題、被写体である生徒たちは「1人の人間」としてではなく、「ある中学校のクラスの中の1人」という切り取り方をされているように感じた。あくまで僕は、だ。

もちろん、大量の素材の中から選び抜かれたであろうエピソードや短いインタビューだけでもその生徒の人間性の一部を垣間見ることはできるかもしれない。
しかし、どうしても撮影されていることを意識した上での発言や行動をとっているように見える。

少なくとも、あの頃の自分が心に抱えていたものはカメラを構えるよく知らない誰かに打ち明けられるようなものではなかった。

また、所々に製作者の「このようにこの映画を受けとってください」というあざとさも感じてしまい。
それを素直に受け止められなかった。

どうせなら変に味付けしようとせず、「中学生の日常」をだだ静かに観せてほしかった。

エンドロールの空撮は1つの集団が個性を持った生き物の様に見え、オープニングの馬の群と重なっている感じがしてかなり好きでした。