14歳のころ、学校のときの自分、ひとりでいるときの自分、その違いに思い悩むようになった。
自分だけが悩み、孤独を感じて、複雑な人間なのだと、身勝手に決めつけてしまっていた。
思えば、僕は学校という小さな世界の中の、たった一面でしか、人を見れていなかったのだと思う。
人間が、誰もが、多面的な存在なのだと、あの頃に知れていたら、もっと違った人間になれていたのだろうか。
(たぶんあの頃の僕ならば、それを知っても自分の偏見を正さなかっただろう)
35人全員が、自分らしさをもち、自らの考えをもち、葛藤をもち、正しさと、危うさをもっていた。そしてそんな35人のことを、今の僕は、とても愛おしく感じた。
たくさんの姿が、かつての自分に重なり、閉じられていたいくつものページが開かれていった。
人を笑顔にしたかった自分
好きな人に会いに行った自分
人と距離をとっていた自分
人を信じることができていなかった自分
自分のことが嫌いな自分
そして、
人を傷つけてしまった自分
14歳というのは、僕にとっても、今の自分を形成する大きな変化があった時期で、まさしく僕の人生において、かけがえのない数ページだ。
少しの間だけ、この開かれたページを読み返していたい。
そして、栞を挟んで閉じておこう。
また、読み返すことができるように。
この大切な一幕のありかを、忘れないように。