Jeffrey

獅子座のJeffreyのレビュー・感想・評価

獅子座(1959年製作の映画)
3.0
「獅子座」

本作はエリック・ロメールが監督、脚本を務め製作総指揮をクロード・シャブロルが行った長編デビュー作で、この度紀伊国屋からBDボックスが発売され、購入して久々に鑑賞したが傑作。1959年の作品で62年に初公開され、日本でもかなり評価の高い1本になっている。といっても日本の場合はシネセゾン配給で90年に公開されている。そもそもロメールは、映画を変革させたヌーベルバーグ(新しい波)の旗手の監督で、本作が長編第一作目である。パリをめぐる双六、偶然を導く骰子の一振りのような彷徨いの映画として有名で、その誘惑の映画術に陶然と浸かる至高の喜びと絶賛された。

さて、物語は獅子座生まれの独身で売れない作曲家ピエールは、亡くなった叔母の膨大な遺産を相続できると知る。7月のパリ祭を過ぎると、見知った仲間はバカンスで街を出て行く。ピエールは遺産が入らないとわかって金作に走るが、友人たちはおらず、ついに部屋を追い出されパリの街を徘徊し、ホームレスに見落として行く…と簡単に説明するとこんな感じで、本作は1959年夏のパリで撮られたが、公開は3年後となり、ロメールにとって鮮やかなデビューとは言えなかったそうだ。その後ロメールは連作恋愛劇(6つの教訓話)を準備していく。主演のピエールはアメリカ人俳優のジェス・ハーン。盟友ゴダールがパーティーの客として出演、この後にフランスで活躍する女優たちが顔を出しているのも興味深い1本になっている。今回購入したBDの特典収録に「ベレニス」(54年フランス作品)も入っていた。
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