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獅子座のtelemarker2のレビュー・感想・評価

獅子座(1959年製作の映画)
4.3
バルトークまがい、とカフェの客に揶揄されるヴァイオリンのパッセージが、テーマ曲のように劇中で何度も繰り返される。興行的には失敗に終わったらしいが、それはなんとなくわかる。けっこう気持ちが暗くなる。主人公の境遇が惨めになるにつれて、道端に寝そべる浮浪者たちが画面にも頻繁に映ってくる。これは役じゃなくて本物っぽい。そういう意味では1950年代のパリの街の浮浪者たちを映した貴重な第一次資料、といえるかも。
バカンスの季節で、友だちがパリからいなくなってひとりぼっちになるという状況は「緑の光線」を先取りしている。
ベンチに置き去りにされたパンを盗もうとして犬に吠えられるところは悲しい。主人公の話すフランス語がけっこう癖があるように聞こえた。ホテルの主人が満島ひかりみたいで綺麗。夫と肩を組みながら主人公を追い払うところはよかった。
あと、セーヌ川好きにはたまらないロケーション。
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