せらまる

PASSING -白い黒人-のせらまるのレビュー・感想・評価

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)
3.5
1920年代、有色人種に対する差別が激しかった時代の2人の女性を描いていました。
2人とも白人の血が入っていることで、白人としても生きていけるという選択肢を持ち、片方は白人として自分を偽り、
もう片方は黒人として黒人の家族を持ち生きているという、それぞれの想いや葛藤がめぐるお話です。
全体的にシック且つ白黒映画、造形美を作り込んでいて、監督であるレベッカホールの想いが伝わります。
日本ではなかなか理解できない有色人種への差別問題ですが、現代の欧米諸国ではかなり重視されている、センシティブな問題を敢えてチョイスしています。
白人として偽りを持って生きているクレアの夫である白人のジョンが当たり前のように、黒人は嫌いというわけではない、憎いんだ。というシーンがかなり印象的でした。
自分を抑圧してでも生活のために自由を無くして生きていかなければならない、という女性として、人種として二つの縛りをどうにか解放させようとするクレアと、
自分の平穏な幸せを選択しつつも、白人としての自分を捨てきれないアイリーン、
二つの想いが交錯していました。
使用人や、奴隷や子守りなど、なかなか現代では聴かない職種も登場していて考えさせられました。
原作はネララーソンの小説ということで、1929年当時の生活や価値観がかなり表されてるんでは?という印象。
最後のシーンは割とあっけらかんとした印象でした。
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