ぷかしりまる

悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズのぷかしりまるのレビュー・感想・評価

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レビューを書きかけてラスト、特に最後10秒くらいで絶句し、全てが馬鹿馬鹿しくなった笑
絶望に絶望を重ねた怒涛の展開には意匠が凝らされており、特にバスの中に何十人も閉じ込められたままチェーンソーで引き裂かれる無残なシークエンスには度肝を抜かれつつ、窓ガラスに手形の血痕がびっしり付く反復にはロメロのゾンビ的なこだわりを感じた。①直接的かつ丹念なグロゴア描写と②効果音はレザーフェイスの凶悪さと緊張感、エンタメ要素を強めていたが、その2つは初代悪魔のいけにえがタブーとしたために評価を高めた要素である。リターンズとしてその名を借りるのであれば、悪魔のいけにえが広く愛され評価される理由を(現代的な技法を用い)キャラクターの個性に紐づけるのではなく、先にあげた2つの要素を抜きにして描いて欲しかったとも思う。もしくはそれが不可能であると逆説的に証明することで、初代悪魔のいけにえが唯一無二であることを表しているとも考えられるが、現代の観客にウケる要素を取り込んだ結果であるとも思えてならない。いわばこの映画は効果音と直接的なグロゴア描写により「ハラハラ、ビックリ」するものであり、初代悪魔のいけにえのように「理解不能な気色悪さ」は持たない。それを象徴するのは今作のレザーフェイスによる皮剥ぎの描写、皮を剥がれた死体を二度執拗に映すことである。一方初代悪魔のいけにえにおいては、レザーフェイスは初登場する場面のわずか3秒ほど説明もなく頭に皮を被った状態で男の頭をハンマーでかち割り(薄暗がりの中でよく見えない)勢いよく音を立て鉄の扉を閉め去る。これはいかに表現における分かりやすさが重視されるようになったかという問題でもあろう。
初代キャラクターの再登場やラストシーンの演出といったオマージュは汲むが、レザーフェイスとの決闘におけるスローモーションはなんとも情けない演出であった。またレザーフェイスは人間であるにもか関わらず不死身であると描くことにより、是が非でも続編制作に繋げ(また金儲けし)たいという意図が透けて見え失望した。