こうみ大夫

偶然と想像のこうみ大夫のレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.4
映画には一つ偶然(または奇跡と呼ぶのか)を設けることが許されていると思う。まさにそのようなテーマで作られた短編集。ただもう一つのテーマである、「日常で人が演じる時」というものを自然と入れ込むその上手さに驚かされる。とにかく本が良いからラストの展開がどれも良い。短編としてそこが良く出来てる。いつもながらの緊張感を出しつつ、少しコメディに振るのは意外だった。台詞で話の余白を作るというのはいつも特徴だな、と。だから多分台本で見ると凄い台詞量なのだと思うけど、実際映像にすると「たわいもない」という空気感によって、それほど喋ってるように思わない。凄くこの人たち喋ってるのにね。一個目の短編で出て来た台詞のように、「テンポがいい」のだろう。たわいもないテンポの良さでとにかく喋らせていく。その特徴がいきすぎてやがて役者みんなアンドロイドのように見えてくる濱口マジック。なかなか真似できないこれをみんな真似するよね。
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