偶然と想像、がテーマの短編3作。
1番好きだったのは2作目の「扉は開けたままで」だし、1番嫌いだったのもそれだった。
なんでこんな嫌悪を感じるんだろうと思った。たぶん、自分の怠惰を棚上げして、他人を逆恨みして、復讐にも自分の手を汚さないようなやつが、結果、社会に馴染んで人並みの生活を送っている、ということが嫌だったんだろう。最後のキスでそれが揺らいで見えたのは、ある種の救いとも受け取れた。
瀬川教授のキャラクターは好きだった。ほんとうに純粋で優しいキャラクターだと思った。台詞は忘れてしまったけど、奈緒が自身の弱点を告白するところを、肯定的に捉え、また、すごいものとして評価していたところは、少しグッときた。純粋すぎるおかしさもあったけど、ぼくには微笑ましかった。佐々木を意地悪で留年させているわけではないのだろう、ということも想像できた。そんなひとが、結局日陰に追いやられてしまう、というのは悲しかった。
次点が1作目の「魔法（よりもっと不確か）」だった。芽衣子には、うまく言い表せないけど、ハマってしまう魅力があった。これは役者さんの力だろうか、演出の力だろうか。他2人の役者さんのおかげで、人物像が際立って見えたので、役者さんの力なのかな。すごい。
