当時幼かったわたしには全く記憶にない事件だ。恥ずかしながら、最高裁で無罪を勝ち取った2011年にも、関心がなく、この映画で初めてコトの顛末を知った。
なぜ彼は逮捕されたのか？それが明らかになることはなくモヤモヤが残る。映画だけをみると、八つ当たりや責任転嫁の結果のように見える。実際、官民でさまざまな情報漏えいが発生している。使い方によっては大きな損害を与えられるツールであるが、不正を明らかにすることができるツールでもあったわけで、利用者のリテラシーが育っていなかったことが問題だったのかもしれない。縦社会だったり村社会だったりする国民性が、悪いことは隠蔽しようとし、自身のリテラシーのなさを反省するのではなく、ツールを弾劾する方向に向いてしまったのではないかと思う。
個人やその周囲のコミュニティが楽したり得したりするために頭を使うことはできても、自分の手が届かない範囲で何が起きるかを想像できるひとは多くないのかもしれない。
