宵

対峙の宵のレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
4.0
凄まじい。演技とは思えなかった。学校での銃乱射事件の加害者両親と被害者両親の修復的司法の話。部屋に入ってきた時にもうどちらの親がどの立場なのかわかる。銃規制の話や事件名や政治の話は持ち出さず(少し出たけど話題の修正をしていた)に進むのが良かった。10人の生徒を撃ち殺しても育てた息子に愛はある、「いい親だと思うのは間違ってる?」という問いかけは重い。被害者母の、赦したら息子を失ってしまうと思っていたというのも深い。最終的に赦すところで話は落ち着くけれど、赦すって難しい。
構成でとても惹かれたのは、一部屋で二時間進む中でも、最初はテーブルを囲んで四人、感情が溢れる場面では四人とも席を立ち、それぞれ離れたところに座り、最後は部屋の端っこで四人集まって祈るという部屋の使い方。心の距離というか、四人それぞれの気持ちが反映されていたように思う。
監督のインタビューで、途中に挟まれる赤いリボンは、事件後現場に貼られていたテープをイメージしているという話があって、それを踏まえるとまたあのシーンが出てきた場面の意味合いが変わってくるのだろう。
宵