#546 『対峙』
見ていて辛いなぁって思う作品はあんまりない。つまんないじゃなくてね。
これから観る人は予告編も見ずに見に行った方がいいかも。
アメリカの学校で起きた銃乱射事件。
その加害者の家族も被害者の家族が対峙して交流を図る。
どちらが加害者でどちらが被害者か、
観ているうちにわかってくる。
話の筋を読むうちに徐々に明らかになってくる事件の概要。
それぞれの家族が抱える悩み。
なぜ、事件は起きたのか。
誰が悪いのか。
背景は?家族は?友達は?
銃社会における悲劇という、
いまも起き続けるアメリカの陰部。
この4人の家族は全員が素晴らしい演技で観るものを圧倒しています。
ほぼずっと一つの部屋で物語が進行し、
一つの部屋で物語が終わる。
あとはずっと重い。
部屋を支配する重苦しい空気が、我々観客をも苦しめる。
冒頭のちょっと鬱陶しく感じる当たり障りのない日常すら、懐かしく感じるくらいの重力。
ギブアップ寸前で、堰を切ったように詰まっていたものが溢れ出てくる。
苦悩、憎しみの応酬。
涙なしには観ることのできない作品。
オススメです。