ゆずきよ

秘密の森の、その向こうのゆずきよのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.3
今日はあまり時間が取れなそうだと移動時間で観れる長さの映画を選ぶ。
原題はPETITE MAMAN。
フランス語で小さなお母さん。
最後まで見て思うのですが何故この邦題にしたのだろう。
原題のままの方が絶対に良いと思いました。

物語は、祖母を亡くし家の片付けに訪れた親子の母は喪失感から失踪し、一人裏山で遊んでいた娘が裏道を抜けるとそこには自分と同じ年の母がいたというお話。
親子仲は悪く無く運転中のお菓子を食べ合う描写だけで微笑んでしまいました。
美しい森の映像の中で子供が遊ぶ様子は、幼少期を思い出したり自分の子と重ね合わせたりして何故か少しだけ潤む。
核となる過去との行き来は子供には最初そりゃ怖いよね。
子役の子の天真爛漫な演技と静かに響く環境音で物語に深みが出ています。
あと幼い子2人は名前からしても姉妹なのかな?そっくりだし。最初は1人2役なのかと思ったよ。
状況を理解した後は子供らしく2人仲良くなって微笑ましい映像が続きます。
ただその陰では病気であったり祖母の死であったり子供ながらに必死に目を逸らす事があってその事を考えないように振る舞いながらふと零れ落ちる演出が素晴らしい。
基本的に多くは語らずそのままの雰囲気で終幕。

私はどうやらフランス映画と相性が良いみたいです。
余白の多い物語と余計な音楽や説明を極端に省いた悪く言えば淡白な演出が好みでした。
ラストシーンに関しても受け取り方で解釈が違うと思います。
私には刺さりまくりの映画でした。
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