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白い牛のバラッドのKのレビュー・感想・評価

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)
4.5
たまたまネットで見かけた監督のインタビュー記事を読んで、興味が湧いたので鑑賞。

制作禁止令に抗い、10年かけて作られたようで、現在監督たちは拘束され裁判にかけられているとのこと。
そこまでして死刑制度へ一石を投じたこの作品が、同じ制度のある日本で公開される意味はあると思った。

冤罪で死刑になった人と死刑判決をした人、そして両者の家族、被害者家族、死刑制度が周囲に与える影響についてとても考えさせられた。
また、冤罪や赦しという大きな軸はありながらそこからイスラム教下の女性の待遇や社会的地位、生活、文化とかも垣間見られる。が、どのテーマも重くて切ないしやりきれない気持ちになる。
映画と音楽、そして主人公が強い女性であることは希望であり救いだった。

白い牛は冤罪へのメタファーとのことだが、他にも口紅や牛乳等々メタファーが多い。赤い口紅を使うシーンが2回出てきたけど、それぞれ反対の意味を持って使われていて、2回目のシーンは白い牛乳と相まってゾクゾクした。記事を読んである程度の予備知識を持ってみたのは正解だったかもしれない。

カメラワークとか演出も細かく作り手のこだわりも感じられ、テーマは重いけど見応えのある作品でした。
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