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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノの文字のレビュー・感想・評価

3.9
恥ずかしさ。あるいは吐き気。Explosion.
冒頭のセックスシーンで流れていたBGMは恐らくクストリッツァのアンダーグラウンドの、あの地下空間で流れていた音楽と同じだった気がする。そのせいあってか終始クストリッツァならどのように観るだろうと考えながら観ていた気がする。黒さとユーモアが効いている作風は結構好きだった。
第一部では女教師がコロナ禍のブクレシュチを歩く姿が延々と映し出される。結構余計なものも映り込んできており、入り込み方はアレクセイゲルマンの作品を彷彿とさせたが、注視していると入り込んでくる風景というよりはモンタージュ的な認識論的装置としてちゃんと機能していたように思う。あの辺のシーンで女教師以外に脚本があったのかは気になるところ。そしてその意味の連続は第二部に引き継がれる。
第二部を永遠に見ていたい。ゴダールみを強く感じる。
第三部では三通りのエンディングを見せられる。学校に集まった保護者の面子がルーマニアという国家の現在の複雑性を反映していたように思う。最後のパターンはそういった人々に対する反骨精神(もしくはフラストレーション)の爆発だろうか。黒い現実とブルトン的爆発。でもそれはどこから?
数々の批判の醜悪さは、それが多数派のものであるという自信に満ちた表現であること、直截的な表現を避けていることから、自らの品位こそは保たれているというような自意識が見え隠れしていた。そのあたりがいかにもいやらしい。そして然様な表現は無意識のうちに行われるが、そのほとんどが女教師を排除したいという願望の実現のためのとりあえずの詭弁に過ぎないということをつきつけられる。
映し出される映像は醜悪で下品だったかもしれない(自己検閲でほぼ見えないけど)が、そんなに苦手ではなかった。自己検閲がゆるくてたまにちょっと見えてんの笑う。色々と酷い。
全然関係ないけどなぜかヒエロニムス・ボッシュの絵画を思い出した。シニカルというよりはキニカルな映画だった。色々な作品へのオマージュを感じる。こんなん笑うわ。
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