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Endgame(英題)のqーpのレビュー・感想・評価

Endgame(英題)(2021年製作の映画)
3.8
【人潮汹涌】劇場で。中国春節映画その4。

香港の大御所アンディ・ラウ主演による、内田けんじ監督「鍵泥棒のメソッド」の中国版リメイク。今年の春節は記録的な大ヒット作が二つ生まれ、そのあおりを喰う形で上映回数が少なく興収は苦戦しているが評判は良い。約80席の劇場は満席。

舞台は上海でアンディのセリフは標準語。吹き替えではなく撮影時の肉声だけど、やはり広東語でないとしっくり来ない。片言とまでは言わないが可愛く聞こえてしまう。日本版オリジナルに準拠して終始表情に乏しい役。

日本版での香川照之や、韓国版リメイク「LUCK-KEY」のユ・ヘジンに比べると相当な「イケオジ」配役となったアンディだけどもう還暦越えだ。婚活女子だった広末涼子の役が万茜(レジーナ・ワン)演じるシングルマザー設定に変更されたので二人の展開に説得力が増した。更にこの違いによって小学六年生の息子を含めたエピソードがよりハートフルに膨らんだのは良かった。

堺雅人の役は「唐人街探案」シリーズでもおなじみ肖央(シャオ・ヤン)。とぼけたクズ男もハマり役で、エピソードや小ネタも一番オリジナルに近い。

ずっと四川方言で突き通す印象的な火鍋屋の女ボス(ホワン・シャオレイ)。どこかアニタ・ムイを彷彿させる彼女には、オリジナルでは荒川良々が演じていたヤクザのボスよりも人物描写や背景に深みが与えられている。

なお前半で私のお気に入り映画「平原上的夏洛克(2019)」のずっこけトリオ達が次々に市場のオヤジとして出てきたので思わず声が出てしまった。調べたら本作の宣伝用短編(約11分)「寻找刘德华=アンディ・ラウを探して」に起用されている。本編とは全く無関係の内容だが同じように面白い。中国語字幕しかないけどYouTubeで見られます。
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