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ボーはおそれているのyukiのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アリアスター新作 ホラー!と期待を高めすぎてしまった感が否めない。意味不明で解決しないトゥルーマン・ショーて感じ。
もちろんボーのどの体験も最悪なものばかりだし、ボー自身にも「なんでそうなった?」と思うことが多々ある。でもホラーというより、「こいつヤバ」とか「この展開はおかしいやろ」みたいな笑えるところが多くて、監督のやりたいこと詰め込みすぎたシニカルなコメディ映画だった。コメディとして考えたならば、星4~5つけると思う。声出して笑ったりツッコめる環境ならば、尚のこと。
3時間長いといえば長いけど、語られてないところも気になりすぎてやっぱり努力して短くしたんですね…て感じ。
来日イベント時のインタビューで、死体の表現や傷口の描写がとても楽しいと言っていたぶん、それいる?みたいな傷や死体がたまに出てきた。腹上死したエレノアなんか、死後硬直早すぎだろってくらいそのままの体勢で運ばれてって笑った。この記事見てたから首なし死体出るのかとドキドキしてたら出ないし。

舞台の場面はオオカミの家を観た人なら絶対あの二人の監督だ!と分かっただろう。あのちまちま浮かぶように出来上がる造形物たちをカラーで見れたのは良かった。また、これも予告で見てたからだが、もっとあのセットの中を動く絵本のように歩くシーンが沢山あると思ってた。

最初の出産シーンのぼやけた画面と近いけどくもったような奥底に響くような音響が良かった。笑ったのは、ボーの住まいのある治安最悪な街を捕まらないよう遠くからまっすぐ爆走してくるところ・とティーンネイジャーのようなSpotifyを流して行為の雰囲気を無理やり出そうとするとこ・汗だか涙だかが落ちてきて上向いたら侵入者が天井で踏ん張ってたところ。

またしても、上がることを許されない屋根裏部屋が出てきたので、アリアスターの実家と家族を想像せざるを得なかった。ドゥニ・メノーシェは今までのアリアスターによる女性像とはまた違い、気高く気品があり1人で莫大な資産を築いた経営者で弱さを見せないような出で立ちだったため、「共依存」というテーマにおいてはボーが唯一の欠点という真実がかなりマッチしていた。韓国のオタク界隈でよく目にする、「あなたの唯一の欠点が私になりたい」という言葉を思い出した。(何か出典元があるかは不明だが、愛するからこそ心配しすぎ、信用しすぎ、守りすぎ、恨んだり嫉妬したりしてしまう、一見完璧な人にそういう邪念を抱かせる存在になりたいという解釈をしている)
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