多摩

ボーはおそれているの多摩のネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

比喩じゃなく悪夢を見ている時の感覚がずっとあった。
謎の暴力的な集団が家に入ってこないか気にかけつつ焦って小銭を取り出そうとして、結局支払いも出来ず家にも入り込まれて荒らされる厭さだとか、終始自分だけの聖域が無い感じとか、ボートがいきなり動かなくなるとことか特に夢っぽかった。
不条理な出来事がシームレスに続いて、考えれば意味が分からないんだけど観ている間は不思議と脈絡のなさをあまり感じない。
とはいえ夢か妄想か現実かよく分からない状態が続く不安さみたいなのはあった。
演劇のくだりで現実に戻る所で少なからず妄想癖があるっぽいのが示唆されたり、終盤に今まで監視されていたのが明かされたりで、母の最悪の試し行動と統合失調症?不安障害?のそれぞれ単体だったらともかく、相乗効果で最悪の体験になってたんだなと思った。
ちょくちょく挟まれる過去の記憶やボウが自分で決断を下せない描写で伏線というか違和感を残しつつ、中盤までは今までのホラーにない今敏じみた不条理映像の連続で、新しい面白さだなと思った。
過去の母親とのやり取りが描かれるようになってからは、今までの描写に納得がいったと同時にやっぱりいつものアリアスターだって思った。
ラストの最悪のトゥルーマンショーみたいな展開で一応種明かしっぽい事はされたけど、色々と謎は残った。
監視カメラの映像に何が映っていたのかよく分からなかった。母親宅の壁の年表?に社会復帰地区?とか発達障害がどうのとか、「完璧な安全(?)」の標語が意味深に映されてたけど、それもよく分からなかった。ボウを使って何かしていたのか、過干渉の他にもその影響でボウがあんなになってしまったって事なんだろうか。
エレインが突然死んだのも謎だ。それも謀略だったんだろうか。跨ったままの姿勢で固まってたのに違和感があって、死後硬直?なのか妄想によるものだからなのか。
中盤で外界に金玉が膨れ上がっているって言われてたのは父親がちんちんのバケモンだった事の伏線かな。父親の家系が子供を仕込んだ瞬間に死んでいったと吹き込まれていたのは、もうあんなものを生み出さないようにするための脅しで、過保護過干渉もそれが関係してたんだろうか。
人間がゴポゴポと溺れ死んで行くところを定点で映して締めるの嫌すぎ。でもちょっとかっこよかった。
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