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映画:フィッシュマンズのsssのネタバレレビュー・内容・結末

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

モノローグやBGMもないドキュメンタリー。Fishmansとの出会いは部屋にあった兄のMDを聴いてからで、後期の世田谷三部作から入り初期に遡って聴いた。

後期の孤独に寄り添う、息が詰まりそうな浮遊したあの音がわたしのなかでのFishmansだったけれど、映画を観たら初期はバンドサウンドそのもので、お金がほしい女の子にモテたいなんていう、いかにもバンドマンが抱く動機を語っていたことになんだかニコニコしてしまった。無邪気な笑顔もたくさん映像に残っていた。

佐藤さんが最期までバンドにこだわり続けたことやストイックになりすぎて自分を追い込んでしまった姿、脱退したメンバーの気持ちなどを聞いたら長くバンドを続けるのって相当しんどいよなと思いながらも、あぁわたしはやっぱりバンドが好きだなあと感じた。

バンド贔屓かもしれないけれど、やっぱりあのライブは神がかっていたと語り継がれるのはやっぱりバンドにしか出せないそのときの空気みたいなものが絶対的にあると思っている。

佐藤さんを語るまわりの人たちが、今でも夜道を歩いているときやきれいな景色を見るとふと佐藤さんを思い出す、なにかに煮詰まったとき今佐藤さんがいたらなんて言葉をくれるかなあなどと話していて、身近にいる人にとってはとてつもない存在だったのだろう。

最後の『男達の別れ』ツアーでの曲間MCで、10年後はどうしてるかなと儚げにつぶやいてからのIN THE FLIGHTで一気に涙が込み上げてきた。

売れたいけど下北沢でしゃがみこめないくらい売れるのは嫌だな、みたいなセリフが妙にグッときた。

ミリオンセラーを叩き出したわけでもないのに今なお世代を超えてFishmansが好きって人がいるほど神格化されてるバンドはなかなかいないのかもしれない。

遅い時間の回だったので、上映後生ぬるい空気のなかFishmansを聴きながら歩いて帰ってきたのが心地よかった。
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