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映画:フィッシュマンズのTKKのレビュー・感想・評価

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)
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孤高のバンド、フィッシュマンズ。その中でとびきり孤高で孤独な存在、佐藤伸治。
これは、曲の聴こえ方だいぶ変わるなぁ。

今になって世界的に評価され、自分みたいな若者にもしっかり届いてきているのが切ない気持ちになるが、
あの時代でなければあの音楽、特にLONG SEASONのような奇跡の作品は決して生まれなかっただろうことも痛いほどわかるので、なんとももどかしく、やるせない気持ちにもなった。

ワイキキビーチスタジオ出来立ての頃の超無邪気に音楽を楽しんでいる空気感がマジで最高だった。
あれをどうにか自分の人生でも味わいたい。眩しいほどに尊い。

酔っ払って風の気持ち良い帰り道、重めの仕事に向かう朝、天気の良い昼下がりのドライブ。
自分にとっては日常のどんなシーンにも聴きたくなって、どんな感情にも寄り添ってくれる、そんな万能さと優しさのある音楽でもある。
その理由が直感的に少しわかったような気がする。

映画としては、この長さがあるのだからもっとライブシーンがあった方が見やすいし抑揚がついてバランスが取れたのではないかなと思う。
バンドの軌跡を全部さらってくれるのはありがたいけど、肝心の佐藤伸治の死とその後の現在に至るまでの茂木さん達の活動と想いのところがあっさりめになっちゃってて、そこを深掘りして欲しかった。よりしんどくなるだろうけど。
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