伊月

茜色に焼かれるの伊月のレビュー・感想・評価

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
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好みじゃないし別に面白くはなかった。
意味のわからない主人公に終始翻弄された。

登場人物の気持ちの吐露が薄っぺらくて甘い。狙いなんだろうけどもやもやする。
誰もちゃんと吐露しないの、なんで。

ちゃんと傷ついて、ちゃんと悲しんで、ちゃんと怒って、ちゃんとどうにかなっちゃってくれれば良いのに。

こっちがどうにかなるわって思ったけど、現実実際、私もそんなもん。

感情なんて、心なんて、在って無いに等しいよね。

最近は、言葉がうまく出てこないし、最近ことを覚えていられない。
誰とどこに行ってどんな話をしてどんな気持ちだったのかすら、すぐに脳や心から剥がれ落ちてく。
そのくせ過去のことばかり鮮明に思い出して囚われて。
あの頃、あの時、言えなかった言葉や、否定しなかった誤解とか、言わなかった真実とか、諦めた和解とか、信じられないくらい傷ついた事を残酷なくらいに脳が再生して。でもそんな事はどうでもよくて。
それよりもっと辛いのは、数少ない幸せな思い出の方がより鮮明に再生されること。香りとか、吹いてた風とか、流れる空気とか、声とか表情とか。
そっちの方がとても残酷。

「まぁ、頑張りましょう」

なんて、私は言わない。

取ってつけたような希望なんか、私には必要ない。人は、絶望すれば絶望するほど強くなるから。だから私は強い、頑張んなくったって、強くいられる。
だから彼女みたいに、来るかもわからない小さな希望ある未来に縋ったりしない。

人生なんて、最悪な不幸くらいがラッキーに決まってる。
伊月

伊月