ボブおじさん

茜色に焼かれるのボブおじさんのレビュー・感想・評価

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
3.7
閉塞感漂うコロナ禍で必死にもがきながら生きている、シングルマザーの良子と中学生の純平親子を中心に、その周りの人々の生き様を突き放したようなタッチで描く人間ドラマ。

立場が弱い人たちに対して、どんどん優しくない社会になっている現在の日本。〝母子家庭の親子〟と〝風俗店で働く若い女〟にこれでもかと襲い掛かる不幸のつるべ打ち。

弱者が強者から搾取されるのは今に始まったことではないが、風俗店の客や夫のバンド仲間を通じて描かれるのは弱者が更なる弱者を追い詰める負の無限ループ。

法律や社会制度だけではカバーしきれぬ〝心のケア〟を担ってくれる人は、どこにもおらず自分で抱え込むしかない😢

良子が口癖のように他人に言う〝まあ、頑張りましょう〟は、自分に対してのエールではなかったのか?

尾野真知子の女優としての底力を感じさせる熱演は文句無しだが、悪いのは全て世の中のせい、社会のせいだと言っているように感じられたのは少し残念だった。