ゆず塩

悪い奴ほどよく眠るのゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

【一言あらすじ:建設会社の汚職を白日の元に晒そうする主人公達が、人情と復讐心との間で葛藤する話】

この表現でいいのかな。ジャンルとしては、復讐サスペンス?
復讐のために人の道を踏み外すか、ギリギリ踏み外さないように踏みとどまるか。そこが見どころというか、重要な点だと思っている。
一方の悪役は、人情を無くし、外道を進んでいるからこの映画のオチのようになったのかな、という理解。

でも、悪役の見え方が『普通の人』というのがポイントなのだろうな。
如何にも悪役らしい見せ方がないのですもの。
ゴッドファーザーのような、大物感も感じない。
『普通の人が行う悪行』という見せ方が秀逸。
……まぁ、めっちゃ悪い奴ではあるんだけど。

【テーマ:人情がもたらす弱点】
この映画で一番感じたのは、これかな。
西に人情がなければ、きっと悪を倒せただろうに……。
そう考えると、『ゴッドファーザー』で人情を捨てた主人公は正しいのかもな。
悪の中で君臨し続けるには、人情は弱点でしかない。
やるせない。

どうでもいいが、三船敏郎さんが眼鏡かけてて真面目そうだから、最初どこにいるか分からなかった。
序盤30分ほどは、状況描写が多くて、どういう内容か掴みづらいし。
結構独特な物語の入り方ではなかろうか?

あと、田中邦衛さんは一目でわかっちゃうね。

<好きなシーン>
自殺を図った和田の説得方法として、和田の葬式に連れて行くのが良かった。
自分を自殺に追いやろうとした仇を見せて、残してきた妻と娘も見せて。
和田が今後どうするのか、説得力がある。

和田の幽霊ごっこも、見てて楽しかった。
自動車の使い方がいいねー。

妻の立ち回り。
妻の兄貴の立ち回り。
二人とも、人間味がある立ち回りをしているから良い。
兄貴が急に猟銃で西を打とうとするのは、過激だけど。
ま、打ちそうなキャラだし……。
妻が、落ちの引き金になるわけだが、そうしちゃうのも分からないこともないし。
というか、妻の人情を利用した父親が最低で良い。
人の善意を利用する人間と言うのは、最低なのですね。

全体的に満足だけど、2時間半とちょっと長いかな。
ゆず塩

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