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緑子/MIDORI-KOのSのレビュー・感想・評価

緑子/MIDORI-KO(2010年製作の映画)
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息もつかせぬモンタージュ、とてつもない画力によってアートアニメーション界でカルト的な人気をほこる巨匠・黒坂圭太。
1984年の『変形作品第2番』(PFF入選)以来、短編を数々手がけ、アヌシー、オタワの二大アニメーション映画祭の受賞歴を持つ。

ロイスダール、ボッシュ、カラヴァッジオ、マンテーニャ、フェルメールなど西洋絵画から着想した色彩と構図が美しい3万枚を超える原画の背景は、昭和レトロをルネッサンス画法で描いたような謎の町。人々は満たされぬ食欲を抱えている。とある研究所で肉と野菜の滋味を併せ持つ食物・緑子が開発されるが、緑子は食されることを拒むかのように研究所から消え、農業研究に勤しむ孤独な苦学生ミドリの部屋へ逃げ込む。独創的なキャラクターが躍動し、随所にグロテスクなユーモアの冴えた刃を光らせ、荒廃した世界に今を生きる生命の讃歌が高らかに響く。

2024/04/15 DVD
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