めたわに

ヴォイジャーのめたわにのネタバレレビュー・内容・結末

ヴォイジャー(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

SFの体を成しているが、閉鎖空間での集団行動がテーマに。
居住可能な惑星へ、でも86年かかる。御目付役の大人リチャード(コリン・ファレル)を1人、あとは子供達を乗せ出発。この子供達は、目的の惑星到着前に死ぬ可能性大。捨石という認識は子供らの中にもある。コールドスリープというありがちな設定を排除したことによるストーリー展開であり、ここポイント!

ブルーという鎮静剤のようなものを飲まなくなったら、宇宙船という閉鎖空間の中で成長し大人になっていく子供らはどうなる?抑えられていた性欲や感情が芽生え、喧嘩はするし殺人は起こるしエッチはあっちでもこっちでも♥。リチャードが死んでからは(誤って殺される)、真面目派と不真面目派(こっちは普通と表現の方が妥当かも)の権力闘争。犠牲者は出すがそこは正義(真面目派)が勝つ。生き残った者等は、ブルーを再び飲まずとも平和にやっていける!と決断し、世代を重ね目的の惑星に到着する。

リチャードが可愛くてしょうがなかった子供らも、成長すると醜い争いをするようになりリチャード自身も殺されるという皮肉。そして、最後は性善説が勝つというテンプレストーリー。設定舞台は遥か彼方の宇宙だが、テーマはとても身近なアルアルで飽きることなく楽しめます。

ところどころに映画「エイリアン」を意識した発言もあり、この子らの基礎学習に映画「エイリアン」の鑑賞も含まれていた!?あ、このエイリアンですが、不真面目派のでっち上げです。こういう共通の敵を作り上げて問題の本質を誤摩化したり団結させるのは、古今東西古来からの常套手段ですね。

どこかの独裁者が考えたらしいが、治安を保つなら水道水にお薬混ぜたら簡単ですね、というかそれしか方法はありません。性善説が成り立つなら、戦争も犯罪も無くなっているだが現状は…
映画はグッドエンディングでしたが、現実世界に重ねてみると、悲しくなってしまう映画でした。
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