ツクヨミ

彼女が好きなものはのツクヨミのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.0
始まりは"彼女が好きなものはホモであって、僕ではない"から。
安藤純は同性愛者でありながらそのことを隠して生活していた。そんな折に同じクラスの女の子三浦さんが腐女子だと知ってしまい…
同性愛者の内に秘めた感情を曝け出した現代的学園ドラマ。今作はまさにタイトル通りで"彼女が好きなものは○○であって…"から始まるストーリーにがっしり心を掴まれました。テーマ的には昨今話題のLGBTQを取り扱った作品であるが、日本の学校環境から生まれた性的趣向差別をリアルに描いていてなかなか苦しい感情を主人公と一緒に体験する展開に涙。私たちが考えている以上に同性愛者の人が抱えている問題は重いし、そんな彼らの思いを少しでも汲んであげられる理解してあげることが助けになるというメッセージが伝わった。
そして今作は映画としてなかなか面白かった。前半であった主人公と男・主人公と女性によるセックス描写をクロスカッティングさせて描いたり、主人公と友人が公園で話している最中に遊んでいた少年が過去の主人公たちに変わるようなマッチカットもキレイで美しい流れだった。構成としても"彼女が好きなものは○○であって…"というタイトル的な文章が劇中で2度変化して印象的に使われていたのが素晴らしく作品をまとめあげている。
ラストまでの流れもよく見終わった後にじーんと響くような余韻が心地よかった。
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