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彼女が好きなものはのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.3
高校生の安藤純(神尾楓珠)は、いつか結婚して子供がいる異性愛者の幸せを諦めきれず自分がゲイであることを誰にも告げずに生きてきた。
ある日、純は書店でクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)が、BLマンガを購入しているところに遭遇する。
中学校時代のトラウマからBL好きであることを秘密にしている紗枝は、「誰にも言わないで欲しい」と純に口止めをする。
純には妻子ある同性の恋人・誠(今井翼)がいるが、書店での遭遇をきっかけに、純と紗枝は急接近。
紗枝の友人たちとダブルデートをしたり、クラスメイトと遊園地で遊んだりと仲を深めていくなか、純は紗枝から告白をされる。
「自分も“ふつう”に女性と付き合い“ふつう”の人生を歩めるのではないか……」
一縷の望みにかけるかのように、紗枝の告白を受け入れた純は、紗枝と付き合い始めるのだが……。
浅原ナオトの小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を映画化。
先に同じ小説を映像化したドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る」では、学校内で摩擦を作らないようホントの自分を隠して、同性愛者である自分を受け入れられず結婚して子供がいる異性愛者の幸せを諦めきれないけど、妻子がいる同性愛者の誠と不倫中であるアイデンティティが引き裂かれた純の苦悩を、クイーンの曲やネット上の親友ミスター・ファーレンファイト(磯村優斗)や彼氏の誠や行きつけのバーのマダムとの交流を通してしっかり描いていたが、ドラマの二番煎じを避けるためか上の部分をカットしてるため、純が何故紗枝に好意を持ち付き合うことにしたかなどが感情移入しにくい。
ただ、あるきっかけから純の秘密が紗枝たちにバレてからが、それまで見えにくかった純の苦悩や紗枝の真っ直ぐ純に向き合いたい純真な恋心などがより深く掘り下げて描かれていて、周囲との摩擦を避けるために異質なものをすぐキモいと切り捨てるのではなく、ちゃんと理解しようと向き合い続けることの大切さが純たちの学校生活に力を入れて描いていて、山田杏奈や神尾楓珠などの若手俳優の演技もよく、より普遍的な青春ラブストーリー映画に仕上がっている。
「僕が好きなのは、男性で三浦さんだ」
「私が好きなのは、BLで純くんだよ」
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