KingKazukiManji

パトニー・スウォープのKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)
3.5
ほんと最高に狂っている映画を観た。
ロバート・ダウニーは今でいうインディペンデントムービーの先駆者であり、カウンターカルチャーを創り出すのが素晴らしく上手い作家であった。
これは滑稽な奴らの喜劇として描いていたのではなく、寧ろ、どうしようもない奴らの悲劇を描いていたのだと思えた。彼は我々観客を不快にすること、また不安にさせることが真に巧みであった。彼の作品を通して、ある種の固定概念を壊せられたり、反面教師的な教訓としてトラウマを植え付けられたことは言うまでもない。だがしかし、そこにこそ我々が真に物事の価値を決める基準や考えの固定概念を崩してくれる新しい要素があり、だから、フィルターを通してでしか見れなかったものが、ノンフィルターで見れるようになるのだろう。ポール・トーマス・アンダーソンはそういう彼のカウンターカルチャー精神と、ハリウッドムービーではなく、アンダーグラウンドムービーを選んだ彼の信念に、尊敬の意を現していたのだと思われる。
ただ、実際エンターテインメントとして観ると、1時間が限界な世界観でもあった。最初の方は風刺が効いた脚本や滑稽な登場人物の描写が楽しくもあったが、流石に1時間以上も見せられていると飽きるし、ナンセンス過ぎて苦痛な場面も多々あった。ロバート・ダウニーのエッジの効いた風刺表現はとても学ぶものが多く、退屈と感じることもあったが、全体的に素晴らしい作品だと思えた。エンディングは読めたけど、良かった。美しく閉めてくれた。
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