虎舞羅ーコブラー

ノーカントリーの虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.4
「ファーゴ」などのコーエン兄弟監督による、クライム・スリラー映画。

何か名作映画のBlu-rayが欲しかったので、お手頃価格で高評価のこの作品を購入し鑑賞。

ベトナム帰還兵のモスは狩りの途中にギャング同士の抗争現場を発見し、そこにあった大金が入ったバッグを持ち逃げしてしまう。そしてその過ちが、彼の人生を狂わせていく…というお話。
2008年度のアカデミー賞や様々な映画賞を獲得し、絶賛されているこの作品。何が良いのかと言うと、徹底されたドライで暴力的な作風と、全編に渡り漂う緊張感を醸し出す主役陣の演技でしょう。
序盤から殺し屋アントン・シガーによる残忍な殺害シーンを見せられ、緊張が走ります。そしてギャングの金に手を付けた事がバレたモスは、なんとシガーに追われる事に。これだけでもう恐ろしい。何故なら仕事のターゲットだけではなく、自分の邪魔になる者たちをも残忍に容赦なく殺害するから。いつ追い付かれるか分からない…、という恐怖感が画面から伝わってくるようでした。
あまり劇伴もなく、ド派手な銃撃戦や爆破もほぼありません。淡々とドライで、尚且暴力的で骨太なクライム映画に仕上がっているので、名作と言われる理由が分かった気がします。
そして、主人公三人を演じる俳優たちも印象的。特にシガー役のハビエル・バルデムと、保安官のベルを演じるトミー・リー・ジョーンズ。トミーの貫禄ある落ち着いた保安官役は、彼だからこその魅力があると思いましたね。

「この街は元々暴力的な街だ。誰がどうしようとな。」
日々動機や犯行もが凶悪化の一途を辿る犯罪。それは、誰にも止められないのだろうか…。